遺言がなかった場合、相続人が話し合い遺産分割協議書、相続関係説明図、相続財産目録を作成しないと、故人の金融財産は凍結されたまま、不動産の移転登記もできません。
遺産分割とは、相続財産を相続人で分けることで以下の4つの方法があり、ほとんどの相続は協議分割となり遺産分割協議が必要となります。
指定分割 | 遺言によって遺産を分割する方法。 指定分割が最優先となります。 |
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協議分割 | 相続人全員の協議によって遺産を分割する方法で、不動産の移転登記や金融機関の凍結解除のために遺産分割協議書が必要です。 |
調停分割 | 協議が成立しない場合に、家庭裁判所の調停によって分割する方法。 |
審判分割 | 調停によってもまとまらない場合に、家庭裁判所の審判によって分割する方法で、もっとも時間がかかります。 |
遺産分割協議に必ず必要なことは相続人の確定として、まず「相続関係説明図」の作成をサポートします。 故人の生まれてから死亡までの戸籍謄本・除籍謄本を集め、相続人確定の証拠とし、配偶者、嫡出子、非嫡出子、養子、直系父母、兄弟姉妹などを確認します。なぜ生まれてからの全戸籍謄本を揃えなければならないか? 稀なケースですが、前婚での実子や認知した非嫡出子が見つかることがあり、法務局や金融機関は相続人が確定しなければ手続きができない制度になっているためです。
昭和初期生まれの故人の場合、何度も戸籍法が改正されたし、戸籍を移したりしていれば、戸籍謄本の数が増え、ページ数で30枚以上になることもあり、収集するだけで2か月くらいかかってしまいます。行政書士は、相続人の代理として、職務請求書を使い戸籍謄本の収集をすることも可能です。
相続人確定と同時に、故人が所有していた不動産、預貯金、有価証券といったプラス財産(積極財産)、及び借入金・未納金・未納税金といったマイナス財産(消極財産)、寄与分や特別受益、そしてお葬式費用などを調査し「相続財産目録」の作成をサポートします。相続財産目録自体を金融機関や法務局へ提出する必要はありませんが、遺産分割協議を行う際に相続人全員にとって役立つ上に、相続税の手続きの際にとても便利です。 遺産分割協議は相続人と相続財産が確定した上で行うことをお勧めします。
遺産分割協議書の書式については特にルールは無く、相続人全員が同意する内容であれば、どういった書き方でも構いません。無事、遺産分割協議がまとまったら、遺産分割手続きのための「遺産分割協議書」の作成をサポートします。 たまに法定相続分通りにきっちり分割しなければならないと勘違いされている方がおられます。たとえば、配偶者と子2人だと、50%、25%、25%に分割しなければならないという勘違いです。 法定相続分は民法で定める基準であって、相続人が協議し同意すれば、どのような割合で分割しても構いません。
誰がどの財産をどれだけ相続したのか等、第三者(法務局や金融機関)に対して明確にわかるよう記載し、相続人各人が署名し、実印で押印します。 各相続人の戸籍謄本、住民票の写し、印鑑証明書なども必要になってきます。
ただし、遺産分割協議で相続人間の争いごと、もめ事があり同意できない場合は、行政書士が相続人間に入って調停業務を行うことは許されていません。別途、弁護士をご紹介し相談して頂くか、家庭裁判所に調停や裁定を申し入れて頂くことになりますので、ご留意ください。