一般酒類小売業免許申請

お酒の販売を検討さている方へ、ご自身で酒類販売業免許申請を行う際の要領、注意点などをこっそりお教えします。

さくらい行政書士事務所 一般酒類小売業免許申請

酒類の販売をしようとする場合、販売場(お店)ごとに所轄税務署長から酒類販売業免許を受ける必要があります。この免許を受けないで酒類の販売業を行った場合は、酒税法により、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることになります。

酒類販売業免許は、「酒類小売業免許」と「酒類卸売業免許」に分かれます。「酒類小売業免許」は消費者、飲食店営業者、菓子等製造業者に対する販売で、いつでも申請ができます。一方、「酒類卸売業免許」は酒類販売業者または酒類製造者に対しての販売で、毎年9月各都道府県で免許可能件数が広告され、公開抽選の上で審査が行われます。「卸」という名称から、飲食店や菓子等製造業へ酒類を卸すことは「酒類卸売業免許」が必要かと勘違いしやすいです。

「酒類小売業免許」はさらに、「一般酒類小売業免許」、「通信販売酒類小売業免許」、「特殊酒類小売業免許」に分かれます。以前は、みりん販売小売業や、観光地・駅構内・船舶内・競技場等酒類販売の「特殊酒類小売業免許」がありましたが、現在はほとんど「一般酒類小売業免許」へ区分変更または条件緩和されています。

「通信販売酒類小売業免許」は2都道府県以上の広範な地域の消費者を対象にし、インターネットやカタログによって酒類を販売する場合(ただし酒類の範囲があります)ですが、酒類の店頭小売及び一の都道府県の消費者等のみを対象とした小売りを行うことはできません。 

また、「一般酒類小売業免許」から酒類販売業免許の緩和申出書によって条件を緩和することができます。少しややこしいのは、販売場(お店)周辺(同一都道府県内)の消費者等のみを対象とする通信販売は「一般酒類小売業免許」で行うことができます。

従って、お酒を販売しょうと考える方のほとんどは「一般酒類小売業免許」に該当しますので、下記では「一般酒類小売業免許」についてご説明します。


申請提出先
販売場(店)ごとに、販売場(店)の所在地の所轄税務署長へ提出します。
酒類販売免許に関する相談窓口は、酒類指導官設置署
税務署が許可を出すことは珍しいですが、根拠法が酒税法(徴税手段)であるからです。(卸や小売りには関係ありませんが)
大まかな手続き
  • ①酒類販売業免許取得について、所轄税務署での事前相談(これはしておいた方が絶対いいです)
  • ②書類収集と申請書作成・提出
  • ③審査:原則として申請書の受付順。必要に応じ、税務署からの補正要請、質問対応、追加資料の提出等、または現地の販売場(店)の実地確認が行われる場合があります。
  • ④免許付与の通知(付与できない場合も、その旨を書面で通知)
  • ⑤登録免許税の納付、及び所轄税務署を訪問し注意事項などを説明有り。
⑥酒類の販売開始
人的要件
酒税法10条1号から8号から一部抜粋
  • ・酒類製造免許、酒類販売業免許、アルコール事業法の許可の取消処分を受けた者である場合は、その取消処分を受けた日から3年を経過していること。
  • ・申請者が申請前2年以内において国税又は地方税の滞納がないこと、そして滞納処分を受けたことがないこと。(地方税は市町村と都道府県からそれぞれ取得必要)
場所的要件
  • ・販売場が、酒類の製造、酒類の販売、酒場又は料理店等と同一の場所でないこと
  • ・販売場における営業が、販売場の区画割り、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性その他販売行為において他の営業主体の営業と明確に区分されていること。
  • ・販売場が賃貸の場合、酒類販売の承諾書が必要。
ここで注意が必要なのが、酒類の免許のた場所とは、建物が建っている土地の地番です。(郵便が届く住所地表示と異なることが多い) 建物が複数の地番にまたがっているときは、またがっている土地すべての登記簿が必要になります。大きな商業施設の中の店舗で申請する場合、非常に面倒です。法務局へ行って公図を見ながら、過去に分筆や合筆がある場合は、それぞれの土地の登記簿をチェックしなければなりません。
経営基礎要件
  • ・申請前2年以内において国税又は地方税の滞納が無いこと、滞納処分も無いこと。
  • ・申請前1年以内において銀行取引停止処分を受けていないこと。
  • ・最終事業年度で繰越損失があった場合、繰越損失が純資産を超えていないこと。
  • ・過去3年事業年度の各決算において、純資産の20%を超える欠損を生じていないこと。
  • ・適正に酒類の小売業を経営するに十分な知識又は能力を有すること。
    酒類販売管理研修受講の有無、過去の飲食店勤務など
    (審査中に酒類販売管理研修を受講することをおすすめします)
  • ・酒類を継続的に販売するために必要な資金、販売施設及び設備を有していること。(簡単な年間損益計算で計算します)
需要調整要件
酒税の保全上酒類の需給の均等等を維持する必要があるため、酒類の販売業免許を与えることが適当でないと認められる場合に該当しないこと。(飲食店・旅館など酒類を扱う接客業でないことなど)仕入先、販売計画、長期的な販売管理体制などが求められます。
標準処理期間
申請書等の提出があった日の翌日から2か月
免許1件につき3万円
販売場が複数ある場合は販売場ごとに免許が必要。
「酒類販売業免許に伴う登録免許税の納付通知書」により、税務署又は金融機関等で納付し、領収証書を「登録免許税の領収証書提出書」に貼り付け、指定期日までに税務署に提出する。領収証書は現物の提出です。
その他
  • ①「一般酒類小売業免許」の条件には、原則として販売方法について「通信販売を除く小売に限る」が付されます。
  • ②「通信販売」とは、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象として、商品の内容や販売価格などをインターネット、カタログの送付等により提示し、郵便、電話、その他の通信手段により売買契約の申込みを受けて酒類を販売すること。 1都道府県内に限定した通信販売は「一般酒類小売業免許」で可能
  • ③「通信販売」を行う場合、新たな免許申請ではなく「酒類販売業免許の条件緩和申出書」により手続きを行う。
  • ④酒類業組合法上の義務:販売場ごとに、酒類の販売業務を開始する時までに「酒類販売管理者」の選任しなければなりません。
  • ⑤「酒類販売管理者」に選任することができる者は、酒類販売管理研修を過去3年以内に受講した者。 選任後も前回受講から3年を超えない期間ごとに研修を受講しなければなりません。酒類販売管理研修はさまざまな研修実施団体が毎月何回も行っており、受講料は数千円の範囲でばらばらです。
  • ⑥「酒類販売管理者」選任の届出義務:選任又は解任したときは2週間以内に税務署長に届け出なければなりません。
  • ⑦標識の掲示義務

法人向け補助金・助成金のお問い合わせ
法人向け補助金・助成金のお問い合わせ


おまけ

昔はコンビニでお酒の販売ができませんでした。薬屋や銭湯同様に、お酒の販売店は他店との間に一定の距離を空ける距離制限があったからです。 今や、コンビニでもドラッグストアでもどこででもお酒を販売しています。

因みに銭湯は今でも距離制限がありますが、銭湯自体が減ってしまいました。