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地方自治体による事業者支援①【千葉県佐倉市】

地方自治体による事業者向け支援①【千葉県佐倉市】

コロナ禍の中で、国(経済産業省)の各種補助金申請支援や、支援金・給付金の申請支援で忙殺されましたが、時々、補助金額の規模は小ぶりになりますが、都道府県や市区町村の事業者向け補助金・助成金の申請支援も行いました。 

 

改めて、千葉県内の各市のサイトを眺めてみると、創業者向け、商店街の活性化、物価高騰対策などの各種支援策に違いがあることに気づきました。細かい申請要件や対象経費の違いがあるので、全ての事業者が対象ではありませんが、必要な事業者さんに必要な情報が届いて欲しいと願い、「地方自治体による事業向け支援」シリーズのブログを書いてみます。

 

まず、私が住んでいる佐倉市から始めます。

 

千葉県佐倉市

佐倉市の人口は約17万人で、過去20年間程は大きな増減が無いので少子高齢化が進んでいるのでしょう。江戸時代の佐倉藩は歴代の老中を輩出し、佐倉城址には天守閣はありませんが春の桜と見事であり、国立歴史博物館は有名です。また、武家屋敷や江戸時代を思わせる街並みが残っています。 北部は京成線が東西に走り、南部はJR総武線が通っており、都心まで1時間以内の通勤・通学の範囲です。 京成線の西側(志津地区)にユーカリが丘という1970年代から都市化が進んだ地域があります。 

 

佐倉市出身有名人の筆頭は長嶋茂雄さんですね。そして、カリスマバンド、バンプオブチキンのメンバーは全員佐倉で育ったようです。以前、ベースの直井君のお父さん、お母さんが経営されていた居酒屋(バンプファンの聖地)で昼ご飯を食べ、直井君のお姉さんに店内を案内して頂いたことがありますが、最近閉店したようで残念です。

 

令和5年度の佐倉市の産業振興の施策としては、商店街の活性化と、創業支援に力を注いでいるようです。

 

佐倉市商店街空き店舗等出店促進補助金

5か月以上空いている空き店舗や空き家を使って事業を始めるかたに対し、改装費や賃借料などの一部を補助(最大80万円)する補助金です。対象の業種指定はありませんが、店舗にお客さんの出入りが発生する業態に限られます。(但し、風営法に関する営業を除く) 飲食店、小売店、理容・美容・マッサージなどのサービス業のイメージですね。

 

(1)細かい申請要件は、

1.空き店舗等が佐倉市内に所在すること

2.事業を開始するにあたって必要となる資格を取得していること(まだ資格をとれていない場合は、店のオープンまでに資格を取得すること)

3.3年以上継続して営業することが見込まれること

4.個人事業の場合、佐倉市内に住むこと

5.法人事業の場合、佐倉市内に店の登記をすること

6.週30時間以上の営業を通年おこなうこと

7.『創業特例型』の補助区分を利用する場合には、佐倉商工会議所または千葉県産業振興センター等が実施する経営相談事業等に参加すること

8.事前に商店会と協議すること

9.佐倉商工会議所または商店会に加入し、その活動に積極的に参加すること

10.市税の滞納をしていないこと

11.すでに佐倉市内で事業を行っている場合は、その場所を空き店舗にしないこと

12.フランチャイズチェーンでないこと

13.同内容の商品又はサービスを提供する店舗を10以上有する事業者でないこと。

14.周囲の景観に配慮すること

15.年度内に店をオープンできること

16.空き店舗等が直近の3年において、本市で実施する他制度の補助金または助成金等を受給していないこと

 

15の商店会(形成佐倉駅周辺、JR佐倉駅周辺、臼井駅周辺、ユーカリが丘駅周辺、志津駅周辺など)の主要道路を商店街主要道路として定めており、補助金額は、創業特例型80万円、通常型60万円。 この商店街主要道路に沿っていない場合の補助金額は、創業特例型40万円、通常型30万円です。 補助率はどれも1/2です。 現在、5か月以上空きの物件がどれくらいあるのかが疑問ですね。 賃貸不動産がこの補助金をPRして新規開店を促進しているのでしょうか?

 

 

(2)申請から交付の流れは、

1.事前相談: 交付申請前に佐倉市商工振興課へ相談が必要

2.交付申請: 必要書類を添付し提出

3.審査、交付決定:提出された書類を元に商工振興課が審査します。審査結果が出たら『交付決定』の連絡

4.事業着手、事業完了:『交付決定』の連絡を受けた後に事業着手(改装工事の着工など)。交付決定前に着工をしてしまうと補助金を交付出来ないそうです。

5.実績報告:お店をオープンした後、必要書類等を揃えて提出。

 6.補助金の交付:提出された書類を審査し、適正と認められた後、補助金が交付されます。

 

(3)申請書類は下記17で、かなり量があります。

1.補助金交付申請書

2.市税の滞納がないことを証明する書類(納税証明書)

3.住民票の写し

4.登記事項証明書の写し(法人で既に登記を済ませている場合)

5.個人事業の開廃業等届出書の写し(個人で既に届出を済ませている場合)

6.営業許可証の写し(許認可が必要な業種で既に許認可を得ている場合)

7.履歴書

8.事業計画書 

9.収支予算書 

10.経費配分書

11.改装・設備導入に係る見積書の写し(改装・設備導入をする場合)

12.空き店舗・空き家の賃貸借契約書の写し(物件を賃借する場合でかつ申請時までに契約締結を済ませている場合)

13.空き店舗・空き家の位置図・平面図

14.誓約書

15.空き店舗・空き家が5か月以上空いていることを証明する書類

16.改装前の店舗を撮影した写真

17.経営相談事業等に参加したことが分かる書類(『創業特例型』を利用する場合)

 

令和5年8月から受付開始で、令和5年度中(令和6年3月まで)になっていますが、予算がなくなり次第終了とのことです。

創業支援施策

平成26年1月施行された産業競争力強化法によって、日本中の個別地域における創業を促進するため、各市町村が民間の創業支援事業者(商工会・商工会議所など)と連携して創業支援体制を構築する取組に対して、国も関係省庁が連携して全面的にサポートする、という仕組みが定められました。

 

佐倉市では、「創業支援等事業計画」を策定し、佐倉商工会議所と連携して、市内で創業をめざすかたを支援するため「創業支援等事業計画」を策定し、平成26年3月に国の認定を受けました。 佐倉商工会議所が主催する佐倉起業塾【実践編】、または千葉県信用保証協会が主催する創業スクール)を修了し、佐倉市の認定を受けた事業者は、株式会社を設立する際の登録免許税の軽減措置や、融資面でのサポート拡充等の措置が受けることができます。また、国の補助金の小規模事業者持続化補助金の創業枠(最大200万円)や、上記の佐倉市商店街空き店舗等出店促進補助金の創業特別型で申請する場合には、この佐倉市の認定が必要です。

 

経済産業省の役人が考えた非常に回りくどいやり方ですね。ゼロから創業を考えているかた、時間的に余裕のあるかたには有効だと思いますが、これで元気に創業が促進されるのかは疑問に感じます。

 

「佐倉・産業大博覧会2023~あつまれ!佐倉の農・商・工~」

佐倉市の行政や事業者及び産業経済団体、福祉団体、そして市民が一体となって産業振興に取り組む機運をさらに高める契機として、佐倉の産業や生産される佐倉産品を広く啓発することが目的のイベントで昨年は8,700人も集まったそうです。

令和5年は下記で行われます。

1.日時 :令和5年11月11日(土)、12日(日) 午前9時~午後3時 

2.場所 :佐倉草ぶえの丘 特設会場 

3.入場料:大人 100 円(高校生以下無料)

 

当職も日程が合えば、天気が良ければ、覗いてみるつもりです。

 

考察

佐倉市産業振興課とは、何度かお世話になったことがあり、皆さん気さくで話しやすい、相談しやすい方々ばかりです。令和4年度は、佐倉市独特の「佐倉市事業再構築支援補助金」を利用させていただいたりしました。

 

市の行政機関としては、多くの事業者からの相談を受け、国や県からの受任や連絡、商工会議所や信用組合などとの連携など多忙な業務を、たぶん数人で担当されていることは驚きです。なかなか細かいところまで手が届かないという状況なのかも知れません。もっと、効率的、かつ効果的な産業施策というものはないものかと考え込んでしまいます。