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早期経営改善計画支援のご紹介

さくらい行政書士事務所 早期経営改善計画支援

経営革新等支援機関に認定されて一週間が経ちました。特に認定書や証明証をもらえる訳ではなく、「認定経営等支援機関検索サイト」で、かなり絞り込んで検索するとやっと自分の名前が見つかる程度です。 商工会・商工会議所、税理士、金融機関が多いので、埋もれてしまって、一般の事業者がこの検索サイトで当職を見つけて、お問合せすることはまず無いのではと感じます。

 

認定されてから真面目に調べたのが、中小企業庁の「早期経営改善計画事業」という制度です。売上が減ってしまった、資金繰りが心配、融資審査が通るか不安、新事業に投資したいがカネがない、そもそも損益管理が苦手、という状況の中小企業者は世の中にいっぱい、否、それが一般的傾向でしょう。

 

元々、8年ほど前から「経営改善計画策定支援事業(いわゆる405事業)」というのがあり、今も続いています。 これは、事業者と認定経営革新機関が、がっちり練りに練った経営改善計画を立て、認定経営革新機関は3年がかりでフォローアップをすることが条件。 認定経営革新等支援機関にとっては、3年がかりの業務を無償で働く訳はなく、その費用は、数十日分の何百万円というレベルに達するでしょうから、最大200万円(費用の2/3)まで国が補助する制度です。 ただし、計画を策定すれば済む話ではなく、当該事業者へ融資している全金融機関と協議し合意が必要になります。金融機関が一つだけであれば比較的話が纏まるでしょうが、信用保証会社など含め複数になると、計画の審査だけでかなりの労力、時間が掛かるし、追加融資や返済のリスケが伴うことは必至。即ち、足並みがそろう筈がありません。 過去8年間で約2万者がこの制度を利用したそうですが、中小企業400万者弱の中の約0.5%でしかありません。

 

コロナ禍の中で売上が減ってしまい不安な事業者に対して、中小企業庁が考えた苦肉の策が、「早期」を頭に付けた「早期経営改善計画策定支援事業」です。資金繰りに困っている事業者にまずは数字の見える化をして、金融機関と相談する機会を増やしましょうという感じの、「お試し経営改善計画づくり」です。 孤独で頑固な社長、不安で元気がない社長、諦めの早い淡泊な社長、さまざまな事業者がありますが、「騙されたと思って、まず客観的な視点を入れて計画を作ってみましょう」「金融機関からの追加融資が保証される訳ではありませんが、無駄にはなりませんよ」というノリなのでしょう。名前は「経営改善計画」の文字は同じですが、その趣旨と計画内容は全く違うようです。

 

早期経営改善計画策定支援とは?

特徴は4つです。①リスケなど条件変更の金融支援を前提としない、簡潔な計画、②計画策定から1年後、フォローアップで進捗確認、③自社の状況を客観的に把握できる、④必要に応じ、本格的な経営改善や事業再生の支援策を紹介

 

Step1:まずは身近な専門家(認定経営革新等支援機関(A) )と借入している金融機関の一社(B)に相談

Step2:「早期経営改善計画策定支援」の申請

Step3:認定経営革新等支援機関と早期経営改善計画の策定

 

認定経営革新等支援機関からの見積が、たとえば計画策定で18万円、1年後のフォローアップで9万円の計27万円だとすると、計画策定後に(A)へ6万円を支払い、国から(A)へ12万円の支援。 1年後のフォローアップ後には(A)へ3万円を支払い、国から(A)へ6万円の支援金。事業者は合計9万円は自己負担しなければなりません。

 

申請窓口は、各都道府県の「経営改善支援センター」で、各都道府県の商工会議所本店に設置されています。 因みに、千葉県商工会議所のご担当の方は、驚くほど非常に親切です。


利用申請

申請書は、事業者と認定経営革新等支援機関の連名になります。

記入書類は、利用申請(別紙①)、申請者の概要(別紙①-1)、業務別見積明細書(別紙①-2)

添付書類は、履歴事項全部証明書(個人事業主は開業届又は直近の確定申告書の写し)、認定通知書の写し、認定支援機関の見積書、金融機関の事前相談書

かなりシンプルです。 金融機関の事前相談書とは、基本的にすぐに取れます。(追加融資を保証するものではないのが前提なので) 金融機関はメインか準メインのどちらか一方だけでOK。

 

計画策定

計画はさまざまな内容になるので定型ではありません。 原則として、ビジネスモデル俯瞰図、資金実績・計画書、損益計画、アクションプランを含むべきとのこと。 経営革新計画やモノづくり補助金申請の事業計画と比べると、淡々としたシンプルなものです。 ローカルベンチマーク(ロカベン)を分析ツールとして推奨されています。

この計画書は金融機関(B) へも提出し、受取書をもらいます。その金融機関による審査ではないので、ただ受け取ったよ(1年後またお会いしましょう)という意味の書類です。

 

支払申請

事業者は、計画策定後と1年後のフォローアップ後の二回、(A)へ費用の1/3分を支払い(銀行振込のみ)、支払請求を行うだけです。 補助金の報告・支払請求と比べると簡単です。

 

モニタリング

1年後とは、金融機関の計画書を提出した日から起算して1年を経過した最初の決算時です。

税務申告書と合わせて金融機関に報告することが望ましく、計画と実績に乖離があった場合は、認定経営革新等支援機関が、その原因分析と適切なアドバイスをすることになっています。

 

 こうやって、計画策定時と1年後、メインバンクか準メインバンクの担当者と会って、自社の経営状況や今後のことについて説明し、質問に答えたりすることによって、コミュニケーションを維持することに意味があるのでしょう。困った時にだけ相談に来る、自社の数字をきちんと掴んでいないと思われる、何か隠しているなと勘ずかれるなどの状況とは大きな違いがあるのでしょう。

 

備考

一通り書類を眺めると、これは税理士の通常業務の範囲内ではないかと感じてしまいます。(税理士の業務内容を詳しく知りませんが)

 

当職ならば、上記のような求められる計画内容=経営資源の中のカネに関する見える化だけではなく、ヒト、モノ、情報などについても、そして、SWOTやVRIO、経営方針、事業戦略、マーケティング戦略、IT活用などについても、客観的に纏めるでしょう。金融機関の担当者にとってはそれほど重要でないのかも知れませんが、事業者にとっては多角的な分析結果を見ること自体が有効だと思えるからです。 そして、フォローアップ時は過去3年分以上の財務データから、成長性・収益性・安全性・効率性の数字(%)の変化を見せて、良くなっている部分を褒めてあげて、悪くなった部分は原因を一緒に考えて、また今年度も頑張りましょう、というような感じを目指したいですね。

 

また、この経営改善計画の内容をベースにして、経営革新計画や各種補助金申請に展開できると、事業者にとってメリットが広がったり、前向き思考に変わったりできるでしょう。

 

そして、もちろん認定経営革新等支援機関にとっても、この制度は収入の安定に繋がれば良いですね。