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企業経営に影響を与える法律⑦ 消費者契約法

さくらい行政書士事務所 消費者契約法

消費者保護法は、消費者の利益を保護する目的で企業活動を規制する法律の総称で、消費者基本法、消費者契約法、特定商取引法景品表示法などがあります。

その中の消費者契約法は、消費者と事業者間で締結される契約の取消権や不当な契約条項の無効を消費者に認め、トラブルや被害を抑制することが目的です。

取消権によって個別に消費者を救済しても、同様の被害を受ける消費者が多数存在している可能性があります。新たな被害の発生や拡大を防ぐため、内閣総理大臣から認定を受けた適格消費者団体は、事業者の不当な行為等の差止請求権を行使することが認められています。「消費者団体訴訟制度」 どんどん差止めして欲しい業者がいそうですが、あまりニュースになっていませんね。携帯会社の自動契約中の違約金はこれに当たるような気がします。

 

消費者契約の取消権

事業者の不適切な行為によって、消費者が意思表示に瑕疵(誤認や困惑)をもたらした場合に取消ができます。「だまされたなどと気づいてから1年間、制約成立後の5年以内」であれば行使できます。事業者の不適切な行為とは、

①誤認させるような勧誘:不実告知(本当のことを言わない勧誘)、断定的判断の提供(必ず値上がりしますなどの断定的勧誘)、不利益事実の不告知(デメリットなどの不利益について言わない勧誘)

②困惑させるような勧誘:不退去(訪問販売時など)、退去妨害(キャッチセールにあって事務所から退去させない妨害など)

③過量な契約内容(平成29年6月施行、当該消費者にとって通常分量等を著しく超える量であることを知っていた場合に適用されます)

 

消費者契約の無効条項

消費者が一方的に不利益となる契約条項については無効となります。無効とは最初から無かったことになるので、契約書や約款にいくら書いても、消費者に説明したとしても無効です。 例えば、

①事業者の債務不履行によって消費者に生じた損害賠償責任を免除する条項

②事業者の不法行為によって消費者に生じた損害賠償責任を免除する条項

③消費者が支払う違約金等の額を過大に設定する条項

④遅延損害金を年14.6%(0.04%/日)を超える条項

⑤消費者の利益を一方的に害する条項

 

実務のポイント

(1)自社の商品・サービスが事業者向け(BtoB)か、消費者向け(BtoC)かを判別することが必要ですが、客観的に判別できず両者へ販売する場合は、BtoBの方は「ビジネスプラン」や「法人向け」などの名称を付け、商品内容や価格付けも考慮し、管理を分ける方法があります。尚、「本契約は消費者契約には該当しない」などと記載しても、相手が消費者であれば消費者契約法の適用を免れることはできません。

(2)CtoCサービスでは、消費者が消費者へ商品やサービスを提供することになり、売る側は事業者として取り扱われる可能性があります。

(3)本消費者契約法でなくても、民法の基本原則である公序良俗違反や信義則違反という伝家の宝刀(めちゃくちゃ広く使える)があるので、事業者側は売買契約・利用規約・約款などは慎重に検討するだけでなく、その事業の特徴によりますが消費者への説明を怠らない注意が必要です。

(4)ホームページ(インターネット)上の情報による勧誘についても、消費者の意思表示に瑕疵(誤認や困惑)をもたらすような情報になっていないかチェックする必要があります。インターネットでは、不実告知、断定的判断のような言葉、不利益事実の不告知は日常茶飯事だと思うし、事業者側が訂正しても古い記事が残ったりするので厄介です。