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遺言書を残しておいた方が良いケース

さくらい行政書士事務所 遺言書を残しておいた方が良いケース

有効な遺言書を残す人は約1割だと言われています。遺産相続で家族間で争いが起こらないだろうと考える方がほとんどだと思いますが、遺言書を残しておいた方が良いケース、または残しておくべきケースを8つ挙げて説明します。

 

(1)子供(第1順位)のいない夫婦のケース
配偶者は必ず相続人になりますが、自動的に全財産が配偶者へ相続されるわけではありません。法定相続人である故人の両親(第2順位)、または兄弟姉妹(第3順位、既に亡くなっていた場合はその子へ代襲相続されます)との間で争いが起きるかもしれません。小さなことが原因で不仲になるおそれもあります。 相続税の観点では、配偶者には遺産を多く残せるような仕組みになっています。 具体的には配偶者が受け取る相続財産は1億6千万円まで非課税だからです。(この適用を受けるためには相続税の申告は必要です) もし、配偶者へ全財産を残す考えならば、遺言を残しておいた方が良いでしょう。

 

(2)子供同士が不仲であったり、行方不明・音信不通の子供がいるケース
配偶者が既に亡くなり子供が複数いる場合、子供が均等に相続することが基本です。金銭だと割り切れ易いですが、不動産には様々な事情があり、単純に分割することが難しいケースがあります。 放っておくと複数の子供の共有財産が続き、孫や曾孫の代まで遺産分割がされず相続人数が膨らんでしまうことになってしまいます。 また、子供の配偶者やその家族(姻族)が口をはさんで、相続トラブルが始まることもあります。 そこで、今までにどれくらいの経済的援助をしたのか、自分の介護や生活をどれくらい助けてくれたのか(寄与分)、個々の子供の生活状況などを考慮して、財産分与をしっかり決めておく遺言を残せば安心です。

 

(3)事業を引き継がせたいケース
特定の人(配偶者、子供、または従業員)に事業を引き継がせたい場合、遺言がないと株式などの資産が法定相続人で分割されてしまいます。 事業経験が無い相続人が株式を所有すると、スムーズな経営が行われにくくなり、従業員や取引先に影響がでるおそれがあります。 事前の事業承継計画を検討すると共に、遺言書を残しておいた方が良いです。

 

(4)法定相続人がいないケース
遺産は原則、国庫に帰属します。もし特定の人や団体に遺産を残す(寄付など)考えであれば遺言がなければ実行されません。

 

(5)法定相続人以外に遺産を残しておきたいケース
上記(4)と同じですが、特定の人や団体に遺産を残すためには遺言が必要です。ただし、法定相続人である配偶者と子供には遺留分がありますので、遺産の全てを特定の人や団体に遺産を残すことはできません。

 

(6)内縁関係や事実婚のケース
法定相続人の配偶者は法律上の婚姻関係が必要ですので、内縁関係や事実婚の相手方は法定相続人になりません。遺言がなければ、故人名義の住んでいた不動産や預貯金は法定相続人で分割されてしまいます。

 

(7)複数回婚姻し子供がいるケース、認知した子供(非嫡出子)がいるケース
亡くなると生まれてから死亡までの戸籍謄本をすべて収集し、前婚の配偶者との間で生まれた子供や、婚姻せず認知した子供(非嫡出子)も法定相続人として相続権があります。(必ず見つかります) もし、先に生まれた子供と後から生まれた子供が面識が無い場合、遺産分割協議が難航することが予想されますので、きちんと遺言を残す必要があります。

 

(8)配偶者、子、父母・祖父母、そして兄弟も既に死亡しており、兄弟の子(甥・姪)がいるケース

法定相続人は兄弟の子(甥・姪)へは代襲相続されますが、兄弟の孫である甥・姪の子までは代襲相続されません。

 

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