日本に永住を希望する理由・動機を申請者の言葉で簡潔に書くのが「理由書」で、審査で重要視されています。 虚偽の記載は絶対やってはいけません。
まず、「なぜ日本を選んだのか?」、「なぜ母国に戻らず日本に永住したいのか?」、「なぜ日本以外の外国ではないのか?」を改めて考えて言葉にしてみましょう。
次に、永住権の三条件である①素行が良好、②独立生計、③永住することが日本の利益になること、を意識し、添付資料との繋がりを考えながら文章を組み立てていくことになります。
文章を作る上で重要な具体的ポイントは、
(1)来日してから今日までの経緯:
過去の在留資格で提出した書類との整合性を取ることがポイントで、年月や名称などを間違わないように注意が必要です。
(2)現在の就業状況:
勤務先、部署名、業務内容、職場の状況、収入と保有資産、自分の強み・能力、今後のキャリアプランなど。 ポイントは、収入と保有資産を示す添付書類を付けて、将来も安定した生活ができることを示すことです。 仕事の上司などに推薦状(仕事振りや人柄、必要な人材であること)を書いてもらうことはとても良い方法です。
(3)現在の生活状況:
日本に生活基盤があること、友人や仲間との良好な関係があること、日本社会に溶け込んでいることなどを書きます。ポイントは法令を遵守(犯罪を犯していない)してきたこと、税金・年金・健康保険料をきちんと支払ってきたことを述べることです。 運転免許証を持っていれば無違反の運転記録証明書を添付したり、もし社会貢献活動などで市町村などから感謝状などがあればとても良いです。 しかし、もし就学前の年金未払いや比較的軽い駐車違反などのネガテイブな要素があった場合、隠しておいても必ずバレるので、別紙で理由書を作成し、経緯の説明と二度と行わないことを誓うなどの対処方法を考えなければなりません。
(4)永住権を取得したい理由:
家族・子供がいて日本社会に馴染んでいることは強い理由です。 他には、日本に永住したいと思ったキッカケ、エピソードなども有効でしょうし、上記(2)の今後のキャリアプランと絡めて日本で生活していく気持ちや、日本社会に貢献していく覚悟を書くことができれば良いでしょう。
尚、日本人の配偶者や永住者の配偶者の在留資格の外国人が永住許可申請する際は、永住を希望する理由が明らかですから、この理由書は不要です。わからないことがあれば、気軽にお問い合わせください。
2023年7月15日追記
本ブログへのアクセスがコンスタントにあります。 永住許可は、本人申請より、行政書士がサポートした方が許可される割合が高いというデータを見たことがあります。それは、研修を受けて、法令を確認し、事例を参考にして、要件が合うように強調するなどの助言するからでしょう。
当職の場合、ある程度英語の読み書きができるので、英語圏の外国人に対して、まず理由書を英語で作成してもらいます。その英語を単純に日本語に訳するのではなく、日本語表現で追加・変更を行い、最後に英語へ翻訳します。 申請者本人には、もちろん、なぜその追加・変更を行ったかを説明します。
そして、現在の生活状況を示すために、家族や近所・職場の人たちとの写真をできるだけ多く見せてもらい、飲み会での写真・職場での写真・近所の人たちとの写真・子どもの学校での写真などを探します。 その中から永住を希望する理由との接点を見つけて、文章だけではない印象を与える工夫を考えます。申請する外国人にとって忘れていたようなことが、「日本社会に溶け込んでいる」「日本社会に貢献している」ことを推察してもらえるエピソードを探す感じです。
永住の三条件の一つ、「永住することが日本の利益になること」とは抽象的でお堅い条件ですね。特別なスキルや経験があれば文章にし易いですが、私はその申請者の人柄、交友関係とつき合い方、永住して日本で実現したい夢・やってみたいこと、家族の未来像などを掘り下げて考えます。