外国人旅行者によるインターネット(Airbnbなど)による予約として、よく民泊という言葉を耳にします。 違法民泊がニュースになったこともあり、公衆衛生や地域住民とのトラブルなどの問題を反映させて、2017年6月に住宅宿泊事業法が成立しました。(施行は2018年6月から) 旅館業法によるいわゆる旅館やホテルと違って、年間営業日数が180日以内に制限されていたり、申請(届出)方法が異なります。
近年急増している訪日外国人観光客の多様な宿泊ニーズへの対応と、日本の少子高齢化社会を背景に増加している空き家の有効活用という二つの観点から民泊に対して期待が高まっています。2018年6月の2千件だった民泊の届出数が、たった1年半で2万件と約10倍に急増しました。
訪日外国人は2018年年間で3,000万人を超え、その約90%の約2,700万人は滞在期間10日以内の短期滞在です。平均5日とすると年間1億3,500万泊を、何らかの宿泊施設、又は家族や友人宅に宿泊することになります。 一方、観光庁統計によると2018年の全宿泊施設の総宿泊者数は5億3,800万泊で、その内外国人9,400万泊という実績。全宿泊施設の平均稼働率は6割なので、現在の最大宿泊キャパシティは約9億泊分となります。来年のオリンピックを契機にして外国人旅行者が更に1億泊分くらい増えても現在の宿泊キャパシティの範囲内です(東京、大阪、京都など都市・地域によって差はあるでしょうが) 現在の民泊件数2万件が年間営業制限いっぱいの180日、一日平均2人宿泊としてみると720万泊分程度なのであまりインパクトがありません。旅館やホテルより民泊の方がまだまだ増える見通しなので、競争が増し価格下落は進むのではないかと予想します。または個々の立地条件や口コミによる高評価によって民泊の中で差が広がるのでしょう。ちなみに、民泊を含めた簡易宿泊施設の稼働率は3割程度と旅館やホテルに比べてかなり低い状況です。
民泊=外国人旅行者のイメージがありますが、日本人の利用も増えているという話も聞きます。連泊する出張、受験生、釣りやゴルフで仲間同士など、その目的によって立地条件が合えば民泊を選ぶ人がいるのでしょう。
まだ施行が始まって1年半の法律です。まだまだこれからですね。