日行連の研修サイトで「合同会社の定款の作成とその注意点」を拝聴しました。 講師は元公証人の桐蔭横浜大学法学部客員教授 神﨑満治郎さん。朗らかな人柄で非常に聞きやすい講義でした。
今までの会社法の学習では株式会社の知識が中心で、持分会社については、合同・合名・合資の違いを覚えただけでしたが、今後新たに起業する方にとって、特にシニアの方にとっては合同会社(LLC)を選ぶことが最適だと理解することができました。
理由は①設立費用が安い(定款認証無し)、②より簡易迅速に設立できる、③維持費用も安い(決算報告義務無し)、④迅速な意思決定が可能(株主総会や取締役会無し)、⑤合同会社で立ち上げ、株式会社への変更可能、⑥原則出資者は出資額に関係なく平等な発言権、⑦会社内部のことは比較的自由に取り決めることができる。 簡単に言うと、安くて早くできるフレキシブルな会社ですね。 間接有限責任社員ということは株式会社の出資者と同じで出資金以上には責任を負いません。
似たような制度に有限責任事業組合(LLP)がありますが、法人格は無く、1人では設立不可能で株式会社等へ組織変更ができないので、かなり限定的な組織になります。(ただし、構成員課税は魅力がある) 合同会社の具体例には西友(Walmart)、アップルジャパン、P&Gマックスファクター、日本ケロッグなど超有名外資企業の日本法人の多くは合同会社なんですね。 もちろん国内企業の合同会社も多く、近年増加傾向です。 面白い事例は、中部電力やトヨタなど9社が出資する充電網整備推進機構 、東日本大震災で壊滅的打撃を受けた桃浦かき生産者合同会社(漁業権を持った法人)など。
ほとんどの中小企業さんが法人化するには、株式会社ではなく合同会社を選んだ方が良さそうです。ただし、デメリットとしては合同会社って何?と知られていないことなので、人材募集において不利な面でしょう。
行政書士としては、定款作成についてサポートができそうです。 神﨑満治郎さんの講義で非常に参考になったことは、①持分譲渡や承継など30項目くらいの相対的記載事項の一つ一つを丁寧に話し合って作ること、②定款に記載義務はないが、競業避止義務、利益相反などについても出資者(=社員)の周知のために記載した方が良い事、③わざわざ定款に「代表社員を社長とする」を入れてあげる点などでした。 持分会社では出資者=社員とされているので、呼称としは社長にしておいてあげるちょっとした心配りですね。
定款作成・変更と許認可申請を中心に、補助金申請や融資申請、事業承継や個人の遺産相続などのサポートと業務を広げていければいいなと改めて考えています。
まだまだ勉強することばかりです。